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vol.191:株式会社鎌倉紅谷(1)〜お菓子作りへのこだわり〜 2020.03.19

今回お話を聞いた鎌倉紅谷さんは、鎌倉銘菓として大人気のクルミッ子を製造しています。皆さんも、テレビ番組やSNSで、可愛らしいリスのパッケージを見たことがあるのではないでしょうか。
クルミッ子は、とろけるキャラメルの甘さと、クルミの歯ごたえが特徴のお菓子です。一口サイズなので、甘いものを食べて一休みしたいときにおすすめですよ。
今回は、鎌倉銘菓として大人気のクルミッ子を製造している鎌倉紅谷さんにお話を伺いました。

今回お話を伺ったのは、
代表取締役 有井さん
営業本部広報室 山川さん
です。

クルミッ子がどのように作られたのか、誕生の歴史を教えてください。

クルミッ子は製造を始めて35年。先代のときに生まれた商品です。当時は「あじさい」や「大いちょうサブレー」が売れ筋商品で、三本柱として売り出せる商品を作りたかったと聞いています。
実はあまり詳しい誕生秘話は聞いたことがないのですが、鎌倉のリスを連想させるくるみを使ったお菓子を作ろうと開発したそうです。そして、スイスの伝統菓子、エンガディナーからヒントを得てクルミッ子が誕生しました。

今で言うフードロスの観点から、残生地の廃棄を減らす目的もありました。2015年まで販売していた「大いちょうサブレー」は、銀杏の形に型抜きをしていたため、作る際に型抜きの残生地が出てしまっていました。できるだけ残生地が出ないように、型抜きを繰り返すのですが、どうしても最後に生地が残ってしまいます。そこで、型抜きした後の残生地から新たなお菓子を作ることにしたのです。もちろん、今は残生地だけでは足りないので、クルミッ子用に生地を作って製造しています。
ちなみに「クルミッ子」という商品名ですが、もともとは仮の名前で、新しく正式名称を検討したこともありました。しかし、既にクルミッ子という商品名で浸透していたので、仮の名前をそのまま商品名として採用することになったのです。
お陰様で定番商品のひとつになりました。

クルミッ子の製造は手仕事が多いそうですが、こだわっているポイントはなんでしょうか。

クルミッ子だけではなく、他の商品についてもですが、何よりも美味しさにこだわっています。私たちは、美味しさの定義を「五感+ブランド価値+ポジティブな心の動き」と考えています。
今の技術では、クルミの入ったキャラメルを平らにする工程は、機械がやるよりもクラフトマン(職人)の手仕事の方が、綺麗に作ることができます。しかし、クルミッ子を運んだり裁断したりする工程は、機械がやっても美味しさは変わりません。一番重要な工程は美味しさなので、味に関わる重要なポイントにクラフトマンがより集中できる環境をつくるために、一部の工程では機械を使用しています。
テクノロジーが進化しても手仕事という手段にこだわりすぎて、おいしさの追求を見失ってはいけないので、美味しいクルミッ子をお客様にお届けするためには、これからも新しい技術を積極的に取り入れていきたいです。

クルミッ子作りは、手作りだけにこだわっているわけではないのですね。

そうですね。
昔から私たちの商品は手作りのものが多かったため、手作りは美味しさにとって最重要価値だと考えていました。会社のパンフレットやHPにも「手作りにこだわっています」と書いていたくらいです。
しかし、ある時、必ずしも手作り=美味しさではないということに気がつきました。手作りの方が美味しいところは手作りで、機械を使っても美味しくできるところは機械で、というように、美味しさを追求するためなら、どんどん最新の設備も取り入れていくようになりました。

クルミッ子は、機械とクラフトマンが役割分担をして作っているのですね。
美味しさにこだわった作り方をされているとのことでしたが、続いてパッケージへのこだわりを教えてください。

実は約12年前まで、パッケージには鎌倉のお菓子ということで源頼朝が描かれていました。
私が社長に就任した際に、「鎌倉紅谷も変わる」という想いを伝えたいと考えリニューアルしました。
クルミッ子は小さくて甘く女性向けの商品でしたが、外見が源頼朝だと渋すぎるという意見があり、もともと個包装に描かれていたリスをパッケージにすることになりました。
また、当時は包装紙の上に掛け紙を掛けさらに紐で結ぶという過剰な包装だったため、包装の簡素化も重要なリニューアルの目的でした。

リスのパッケージはSNSでもよく見ますよね。
リニューアル後、新パッケージの評判はいかがでしたか。

最初は、昔からお取引があったお客様の中には、豪華な包装だから買っていたのに、という方もいました。お客様には、鎌倉紅谷と共に商品も変わっていくとご説明して、少しずつ受け入れていただきました。
お客様からだけでなく、社内でも新しい包装に関する意見がありました。例えば、包装時に使用していたゴムについてです。以前紐で縛っていたところをゴムに変えることで、包装の負担が減ると思ったのですが、ゴムは扱いづらいからむしろ無い方が良いという意見があり、ゴムを使うのをやめました。紐は重ねて保管しても平ですが、ゴムは丸いので保管しにくいという話でした。箱の中の仕切が折りづらいという声から、仕切を改良したこともあります。
社長に就任した頃は、ベテランの社員から何でも学んでいましたが、今でも直接社員から意見をもらうことは多いです。

何よりも美味しさにこだわっているということですね。
美味しいクルミッ子を届けるための様々なこだわりについてお聞きしました。
続いては、2019年にオープンしたばかりの鎌倉紅谷 Kurumicco Factoryについてお伺いしていきます。

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