書店には、お客様に魅力ある本をお届けしたいという願いが中心にあります。一方、様々な情報媒体が登場し“紙の本”という媒体が選ばれることが以前より少なくなってきました。私たちは紙の本という媒体を販売してきましたが、それは知識や夢、娯楽など様々な情報をお客様が求めてくださったということでもあります。
今、私たちは、何を売ってきたのかをもう一度見つめなおし、お客さまも書店も体験したことのないような新しい付加価値を見出し、お客様と本との出会いの場を新たなスタイルで創出していく必要があると考えています。これは「書店の再定義」という言葉に置き換えることができます。
『HIBIYA CENTRAL MARKET』などの複合型店舗はそのアウトプットです。
お子様へのアプローチとして、有隣堂では「Do!kids」というインショップを運営しています。
「Do!kids」は、たくさんの “Do!” がつまった創造空間です。感性を育む絵本や想像力をひろげる知育玩具を取り揃え、実際に触って・試して・遊べるプレイスペース付きの売場です。読み聞かせやワークショップなどのイベントも定期的に開催しています。現在は7店舗に常設されています。
【ららぽーと立川立飛店のカフェテーブル】
また、保護者の方にもくつろいでいただけるよう工夫をしています。例えば、ららぽーと立川立飛店ではプレイエリアをぐるりと囲むようにカフェのテーブルを配置し、お子様を見守りながら、ひと休みできるようにレイアウトされています。
【テラスモール湘南店のDo!kids】
テラスモール湘南店では、熱帯魚の大型水槽や背を測れる目盛りつきの柱、そしてソファを設置しお子様と保護者の方がともに楽しめる空間づくりをしています。
【藤沢本町トレアージュ白旗店のフリースペース】
地域密着も有隣堂の特徴です。例えば藤沢本町トレアージュ白旗店では店舗のおよそ3分の1がフリースペースになっていて、親子で参加できるワークショップを開催したり、地域の会合の場としてご利用いただいたりしています。
電子書籍、あるいはインターネットでの本の販売など、本という媒体をお客様が手にとる手段が多様化しています。紙の本を販売する書店として、もはや、それらを敵視する時代ではありません。本の魅力をいかに伝えるか、業界をあげて考えていかなければいけないでしょう。