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vol.180:株式会社デザインフィル(3)〜トラベラーズノート「日常を旅するような気持ちになるノート」〜 2018.11.19

「書く」ことを追求した質の高い紙を作りながら、思わず書きたくなるような、書くことにわくわくするようなノートのブランドを展開されている株式会社デザインフィルさん。

ここからは、「トラベラーズカンパニー」と「トラベラーズファクトリー」のブランドマネージャーの飯島さんにお話をお伺いします。

まず、『トラベラーズノート』とはどんなノートなのですか?

難しい質問ですね。直営店のトラベラーズファクトリーでもお客様にも「このお店って何のお店なんですか」ってよく訊かれるんです。そのとき、「一言でいうと、『トラベラーズノート』のお店です」って答えるんですけど、次は「その『トラベラーズノート』って何ですか」と訊かれます。そうすると、サンプルを見せながら「『トラベラーズノート』っていうのはですね…」と説明することになるんですが…。
『トラベラーズノート』は、タイのチェンマイで作っている牛革のカバーと日本で作られた上質な紙を組み合わせて使うノートになります。リフィル(紙の部分)の種類がたくさんあるのでお客様自身でカスタマイズして、自分の使いたいスタイルを選んで使えるというところが大きな特徴になっています。
プロダクト自体はすごくシンプルなつくりになっているので、表紙にステッカーを貼ったり、旅先で出会ったものを貼ったりしながら、自分なりのカスタマイズをしていくことができるようになっています。『トラベラーズノート』にいろんな所へ行ったことや、そこで体験したことがどんどんこのノートに蓄積されて、使っている人の生き方を表現する、自分の分身みたいなノートが出来上がっていきます。

このノートが生まれたきっかけは?

ISOT(国際文具・紙製品展)の自社ブースで行ったコンペで2位を取ったのがきっかけです。「A5スリムサイズのノートを作る」というテーマで、サイズ以外のデザインや素材については自由に好きなものを提案するというものでした。
そこで『トラベラーズノート』を出そうと思った理由の1つは、この牛革カバーです。この革カバーの工房はタイのチェンマイにあって、そこの人と知り合いだったのですが、すごく味のある革だったのでプロダクトとしていつかかたちにしたいなという思いがありました。僕個人としてはすごくいいものを作る工房であると思っていたのですが、ただ「ミドリ」(デザインフィルの旧会社名)の商品として出すには使いやすさや均一性という部分に難しいなあとも感じていました。
そこで、タイの工房ではノートの革カバーだけ作ってもらい、中身の紙の部分は日本で作ることにしました。そうすることで、タイのチェンマイで作った革の素朴な風合いと日本の紙の繊細なこだわりの組み合わせで新しいものが生まれるのでは思いました。

商品化する際に気にしたことは?

コンペで2位になったのですが、商品としていろいろな懸念材料はありました。まず、ノートとして考えた時にすごく価格帯が高くなってしまうところです。100円や200円で買えるノートもある中で、革カバーも合わせて4,000円くらいで売って、市場性があるのか、売れるのかどうかという心配がありました。
そしてこの革はあまりお化粧をしていない革なので、非常に傷がつきやすかったりムラがあったりして、それがクレームにならないかどうかという部分も気になっていました。
この点については、直接的な解決策ではないんですが、傷がつきやすいとかムラがあるということを1つの味として捉えて、それをむしろポジティブなかたちでユーザーに伝えるようにしました。そのことがこの『トラベラーズノート』の独自性、1つのオリジナリティにつながったのかなあと思っています。

ブランドづくりのときに大事にしていたことは?

「自分たちの本当に欲しいものをかたちにして出そう」という考え方を大事にしています。
自分たちが本当に欲しいものを出して失敗すると、自分たちを否定されたような気持ちになるので、嫌じゃないですか。だからこそ、効率を少し度外視した形にはなりますが、専門スタッフや外注に任せず、自分たちでブランドのHPを作りこんだり、カタログに使う写真を撮ったりしました。
今、年に1回出している「トラベラーズタイムズ」というブランドのフライヤー(チラシ)も自分たちで作っています。

そうやって『トラベラーズノート』の個性が生まれていったんですね。発売当初のお客様の反応は?

当時、SNSはなかったのでブログがメインだったんですが、検索するといくつか『トラベラーズノート』の投稿を見つけることができて、例えば文房具屋さんでこのノートを見つけて買ってみたら「すごく楽しい」、「旅に出たくなりました」みたいなことをいろんな方が書いてくれていました。それがすごく嬉しかったですし、自分たちがやっているやり方って間違っていなかったんだなあということに気付かされました。

『トラベラーズノート』はどんなふうに使ってほしいですか?

『トラベラーズノート』の使い方例として、写真を貼ったり、絵を描いたり、スクラップしたりというようなものをよく出していますので、そういう使い方を想像される方が多いかもしれません。SNSに上がっているものも素敵なものが多いので、お客さんの中には「私にはできないかもなあ・・・」と躊躇される方もいます。もちろんそんなふうな使い方もありますが、僕がいつも仕事で使っているのはいわゆるメモ。字がそんなにうまくなくても、なんとなく味のある字に見えてくるところも『トラベラーズノート』のいいところです。要はノートなので、自由に使ってほしいと思っています。

また、自由に使ってもらうことで「その人らしさ」みたいなのが出てくるのがこのノートの良さでもあると思っていて、絵が好きな人は絵を描いてほしいし、「僕、絵が描けないからとにかく貼るんです」という方もいらっしゃいますし。そんなふうにあんまり堅苦しく考えずに、気楽に使ってほしいですね。

いろんなリフィルがあるので、それがまた新しいきっかけになるといいなとも思っています。僕が絵を描くようになったのもこのノートがきっかけです。お客さんから「画用紙のリフィルがあったらいいな」という声をいただいて、作るからには自分も一回描いてみないといけないなと思いました。それで実際にモノをじっくり見ながら絵を描いてみると、すごく楽しかったんです。大人になるとそういう機会ってなくなるじゃないですか。子どもの絵が素敵なように、世間一般のうまい下手の基準ではなくて、その人なりの良さっていうのを見つけてもらいたいです。一回やってみると、表現するということに抵抗がなくなってきて、自分の中の隠れた何かがどんどん出てくる気がします。だからあんまりこうしてくださいって言いたくないんです。「『トラベラーズノート』はどうやって使うの?」って言われると「自由に使ってください」っていうのが基本的な考え方です。

様々なリフィルがあるので、「自分だったらどんなノートにしようかな」と考えるだけで楽しいですね。
定番のものだけでなく、コラボレーション企画限定のものもありますね。
コラボレーションはどうやって決めているんですか?

初めてコラボレーションしたのは、香港のスターフェリーです。島から島へ普通の通勤の人や旅行の人を運ぶ10分くらいの渡し船で、すごく古い船なんです。旅の名所でもあり、それでいて現地の人の足でもあります。だからこそ味があって、そういうところがすごく好きだったんですが、知人のつてでスターフェリーの人とつながることができ、コラボレーションが実現しました。コラボレーションでは、記念のロゴを刻印した革カバーとノートの限定セットやスターフェリーの船体をモチーフにしたグッズを作りました。限定のノートにはおまけとして、スターフェリーの乗船チケットを付けました。値段的には100円くらいなんですけど、これを買った人が実際に香港に行って乗ってみたり、乗らなかったとしても本当に乗れるんだって想像したりしてほしいなと考えていました。そんな風に、ノートを持つことによって始まる一つの旅というようなものをみんなに提示したいと思っています。

ほかにも、中目黒にトーキョーバイクさんという自転車屋さんがあるんですけど、「東京を気持ちよくゆっくり走りましょう、楽しみましょう」っていうコンセプトを持っているんです。『トラベラーズノート』も「ノートを持つことで旅するように毎日を過ごしてほしいな」というコンセプトなので、互いに共感し合う中でコラボレーションの話が進みました。このコラボレーションで『トラベラーズノート』のユーザーが自転車に乗ってみようと思ってくれたり、東京バイクの自転車で走った記録を『トラベラーズノート』に書くことで、自転車での旅がもっと楽しくなったりしたらいいなぁと思っています。

コラボレーションで僕らが大事にしていることは、お客さんが見た時にどんな風に感じるのかなぁっていうところです。一番はワクワクしてほしいなって思っています。どのコラボレーションも新しいきっかけになるような何かをみんなに伝えたいなあという思いでやっています。

『トラベラーズノート』への熱い思いが伝わってきました。次回は『トラベラーズノート』の直営店となる「トラベラーズファクトリー」についてお話を伺います。

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