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vol.180:株式会社デザインフィル(1)〜MD PAPER PRODUCTS 『MDノート』書き心地の理由〜 2018.11.02

あなたはノートを選ぶとき、何にこだわりますか。文房具屋さんを訪ねるとサイズやデザイン等、様々なノートが並んでいますね。いつも使っているお気に入りのノートがある人も多いのではないでしょうか。株式会社デザインフィルさんは、「書く」ことを追求した質の高い紙を作りながら、思わず書きたくなるような、書くことにわくわくするようなノートのブランドを展開されています。
今回は「MD PAPER PRODUCTS」と『トラベラーズノート』について、ブランドに込めた思いや今後の展開についてお話を伺いました。

「MD PAPER PRODUCTS」についてお話を聞かせてくださったのは、
開発当初から10年間、ブランドを担当されている
プロデューサーの齋藤さんです。

まず、「MD PAPER PRODUCTS」が誕生した経緯を教えてください。

「MD PAPER PRODUCTS」 は、心地よく書けることにこだわった、自社で開発している「MD用紙」を使ったプロダクトです。
「MD用紙」を使った商品は社内では当たり前のものとして認識されていたのですが、ある時お客様に「こんなにいい紙使っているのですね」とお声をかけていただき、自分たちがいかにいいモノづくりをしているかに改めて気づかされたのがこのプロダクトの始まりです。
このブランドの発売前後は万年筆ブームで世の中の多くの人が書くことに興味を持っていたこともあり、紙に書くとはどういうことか、手書きの価値とは…と考えた時に、「MD用紙の良さを生かす必然的なかたち」として余分なものをそぎ落としたのが『MDノート』という商品でした。

「MD用紙」とは、どのような紙ですか?

「MD用紙」は1960年代から自社で開発しているオリジナルの筆記用紙です。元々、当社では日記やダイアリー、ノートを主力商品として作っていたのですが、日記やダイアリーは鉛筆やボールペンの他、万年筆などの色々な筆記具で紙の両面に書くものなので、書きやすさにこだわった紙を作ろうという思いから、「MD用紙」は誕生しました。「書き心地」にこだわっていて、万年筆で書いても裏抜けしにくく、にじみにくい、書いたときにかすかに感じる紙の引っ掛かり具合といった書き味を大切に、丁寧に作っています。
「書き心地」を実現するために、紙を作るときにその出来に一番影響するのは水温なのですが、季節によって異なるので新しい紙を作るときはその時々の状況に応じて細かい調整をしています。最後は見た目や手の感触といった人の感覚で確認して、常に同じ状態になるように様々な項目をチェックし、あらゆる項目に合格となったのが「MD用紙」になります。

『MDノート』で特にこだわっているポイントは?

一番の特徴は「表紙がない」ということです。手帳のカバーをとったような、紙のかたまりのような、素材がそのままプロダクトになっています。一般的な商品は表紙にあたる部分に、さらに紙を貼って完成させるのですが、『MDノート』はその紙を貼っていません。完成の一歩手前の状態で製品にしているという点が画期的なポイントでもあります。
紙に書く時には、書くことを邪魔しない、書きやすいことが一番だと思っています。そこで『MDノート』は書いている時に凹凸やリングが手にあたったり、邪魔をしたりしないように、製本は「糸かがり」を用いました。この綴じ方のおかげで180度フラットに開き、単に1枚の紙に書くような感覚でノートになっているのがすごくいいなと思っています。糸かがりは、本来は長年使う日記や手帳のようなものにしか使われていなかったので、ノートに採用するのは珍しいことなんですよ。

それから、180度フラットに開く書きやすさを実現するために、紙を作る際には「寝かせる」という工程にこだわって作っています。ロール状の紙を平らにして寝かせて、折って寝かせて、糊で留めたらまた寝かせてというのを繰り返し、通常の本やノートよりも時間をかけて丁寧に作っています。

『MDノート』のデザインについて教えてください。

サイズは、本のサイズに合わせた文庫、新書、A5(ムック本)、A4変形判(雑誌)の4つの展開となっています。「ノートは使い捨てる」というイメージがあると思いますが、使い終わったときにみなさんの愛読書と並べてぴったり本棚に収まることをイメージし、本のサイズに合わせて作りました。それぞれ本と同じ様に長年とっておけるような、愛着を持って使っていただけるノートにしたいなというところにこだわりました。
フォーマットには、無罫、横罫、方眼罫の3つがあります。
無罫は見開き2ページ を1枚のキャンバスとして使えるような自由度があり、横罫はさりげないところで中央の線が濃くなっていて区切っても区切らなくてもいいような、使いやすい形になっています。
方眼罫は昔の原稿用紙のデザインをモチーフにしています。ノートは横に書かれる方が多いので、横線がつながるようにしました。横に書く時の流れが自然と入ってきて、書きやすいと感じるようなデザインになっています。

様々なこだわりの詰まったデザインだということが伝わってきました。
商品づくりの際にほかに検討したデザインはあったのでしょうか?

黒やクラフト紙の試作品を作ったことがありました。
黒はお酒の瓶など、外の光をさえぎって中身を守るイメージがあり、それと同じ効果を期待して作ってみたのですが、あまりにも雰囲気が崩れてしまい、不採用となりました。クラフト紙は無垢なものだから合うかもしれないと思ったのですが、少し主張が強くて「MD用紙」が持っている印象を壊してしまうなと思いました。
やっぱり紙らしさという部分で、シンプルに紙を積んだような状態が一番だなということで行き着いたのが今のかたちでした。

そんな試行錯誤を経て今のデザインが生まれたのですね。周囲の反応はどうでしたか?

商品化するときに、社内では「この表紙のない未完成なノートを商品として売っていいのか」という懸念の声が挙がりました。また、『MDノート』は文庫サイズで600円と、ノートとしては少し高いのですが、「この価格で受け入れてもらえるだろうか」という意見もでていました。しかし、「MD用紙」というブランドを作っていく、守っていくという思いから「この仕様以外にはありえない」ということで社内を説得し、商品化に至りました。お陰さまで今年の1月に10周年を迎え、10年の内にだんだんとファンが増えてきたというところですね。

紙の持っている良さを生かし、使う人の書き心地を第一に考えられたデザインであることがとても伝わってきました。次回は、ユーザーの声や10年目を迎えた今とこれからについてお聞きします。

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