芯の先が偏減りして線が太くなる、紙に引っかかって書きにくくなる、欠けた芯で手が汚れる… こういった不満は潜在的なものなので、言われみれば「ああ!」と思っても、なかなか自分からは気づかないところです。
これはなぜかというと、皆さんもうそれが当たり前、シャープペンはそういうものだ、と思ってしまっているからです。 でも、皆さん別に「偏減りしていても気にしない」わけではなくて、実際にシャープペンを使ってもらえばわかると思うのですが、無意識にペンを回転させて調整しているんです。
はい。 回転させること自体は早い段階で決まりました。 また、回転させるための大まかな仕組みも早い段階で決まったのですが、実際に作ってみるとなかなかうまく回らなかったり、一応回転はするものの書きにくかったりで、 調整や設計の修正に長い時間がかかりました。 大体5,000本くらいの試作品を作りましたね。 なかなかうまく回らなくて、途中でくじけそうになったこともあったのですが、 若い開発メンバーが「昨日より良くなってます!」「きっと回りますよ!」と前向きに取り組んでくれて、そのおかげで乗り越えられた部分も大きいです。
また、「回転する」ということの利点をどうお客様にお伝えすればいいのか…という課題もありました。
クルトガはギアの部分の模様がくるくる回って回転していることを示すようになっているのですが、 やろうと思えば、回転のぞき絵のように、軸の前面に模様を配してくるくる回転させることもできるのです。 しかし最終的にこういう控えめな表示になったのには「回転だけに注目して欲しくない」「書いた字が違う、その結果をちゃんと見て欲しい」という気持ちがありました。 試し書きをして、回転の効果を実感してもらえるように、売り場にはサンプルを置いています。
vol.89 三菱鉛筆(4)
オピ研「三菱鉛筆」BBS