「もっと日本のビールの文化を広げたい」という目的がありました。 日本のビールは、「ピルスナー」と呼ばれる淡い黄金色のビールがほとんどですが、世界では「黒ビール(ドイツ名ではシュバルツ)」をはじめとして、非常に様々な種類のビールが飲まれています。 「ビールはピルスナーだけではない。もっと色々な味わいのビールがある」ということを、消費者の方々にお伝えし、ビール文化を広げたいという考えの下で「ヱビス<黒>」を発売しました。 あと、実は1894年にも、「恵比寿ビール」から「黒」を発売していたんですよ。「恵比寿ビール」と共に、戦時中に姿を消してしまったようなのですが、確かに記録には残っています。残念ながら詳しい資料は残っていないので、どんな味だったかなどはわからないのですが。 そういった歴史的な縁もあり、改めて「ヱビスの<黒>」を皆さんに提示することに致しました。
2003年の5月です。 予想をはるかに上回る反響で、発売するやいなや、最初に出荷した分がわずか二週間で売り切れてしまい、一時休売という騒ぎになってしまいました。 恵比寿様が「ごめんなさい」と品切れを詫びるCMまで制作し、放映しました。 黒ビールは日本ではあまりなじみのないものだったので、あんなにも受け入れられたのは本当に予想外のことでした。
あまりなじみがないために、黒ビールは "飲みにくい"というイメージを持っている方も多いでしょうね。
あと、「ヱビス」で、しかも「黒」となると、ものすごーくこってりした味を思い浮かべてしまう人も多いかもしれません。 でも、実際に飲んでみるとそれほどこってりもしていない…というか、芳醇な中にも飲みやすく仕上がっていると思います。 「ヱビス<黒>」は黒麦芽の風味を活かした濃醇な味わいと香ばしさが特徴のビールなんです。
あまり黒ビールにはなじみがなくて・・・という「黒」初心者の方には、普通の「ヱビスビール」とのハーフ&ハーフや、「ヱビスビール」に少しずつ黒を混ぜて自分なりの配分を見つけながらの飲み方もお勧めです。
「琥珀ヱビス」は「アンバービール」という種類のビールを基に開発しました。アンバーとは「琥珀」という意味。赤い色をしたビールのことです。主にヨーロッパやアメリカで飲まれています。 アンバービールは味わいやコクがあり、飲みやすく、しかも目でも楽しむことができるという、とても魅力的なビールです。 ぜひ、新しいビールの楽しみ方として皆さんにも知ってもらいたいということで、「ヱビス」から発売することにしました。
この色を出すのには苦労しました。 赤茶のようなくすんだ色ではなく、普通の赤に近い明るい色にしたかったので、 理想の色が出るまで、開発の担当者は何度も試作を繰り返していました。 色々な麦の配合を試した末に、 クリスタル麦芽(ビールに色や香味をつけたりすることができる色麦芽の種類)を使うことで、 この色を再現することができました。 また、缶の色にもこだわりました。 べったりとした赤ではなく、深みと透明感のある赤にしたくて、何度も校正し直しました。 苦労した甲斐あって、ビールもパッケージも、共に華やかで透明感のある赤にすることができたと思っています。
大変好評で、お客様センターにもいつもより多くの感想が寄せられました。 一番多かった意見は「おいしい」というもの。 次いで「季節限定なんですか?」という問い合わせが多かったですね。 「今までで一番美味しい」「色も味もよくて大満足です」等、開発者冥利に尽きるお言葉もいただきました。 また、新商品を発売すると通常は賛否が分かれるものなのですが、 「琥珀ヱビス」に関しては「クレームはなかったのかな?」というほどに良い意見ばかりが寄せられました。
出荷も順調でした。発売前の告知の時点から非常に評判が良かったので、 品切れなどが起こらないよう多めに見積もって製造したのですが、 結局、当初目標としていた「35万ケース」をはるかに上回る43万ケースを売り上げました。 未だに、「欲しい」というお声をいただくこともあるのですが、 もう工場にも液自体が残ってないんですよ。本当に売り切りました。
クリスマスや大晦日といった、年末年始のイベントに似合う華やかな商品であったというのも、 好調の一因ではないかと思います。
発売まで至っていないだけで、こういった新しい種類のビールの開発はずっとしてきましたし、これからも続けていきますよ。
ビールの文化を広げ、牽引していくことは、ヱビスの使命であると私達は考えています。 故に、開発においても、商業的な成功だけでなく「これをヱビスでやる意義はあるか?」「ヱビスとして発売するにふさわしいクオリティだろうか?」というところが強く求められます。それは社内のハードルだけでなく、お客様のヱビスに対する期待も非常に高いからです。
ヱビスのファンの方々の中には「ヱビスは今のままでいいよ」 「今の美味しいヱビスを変わらず飲ませてくれればいい」と言ってくださる方も多いのですが、 品質が高い、本物をつくれるヱビスだからこそ、進化をやめてはいけない、 ビールの文化をもっと広めていかねば。と思っています。
オピ研「サッポロビール」BBS