積極的に宣伝を行なった成果もあり、1972年(昭和47年)には、200万ケース以上を出荷する大ヒット商品となりました。 当時の普通の大びん140円よりも10円高い150円という価格だったのですが、「本格派」のビールとして、ビール愛好家の方たちに受け入れられました。 しかしその後、会社の方針でヱビスビールは広告を出さないこととなり、売上は最盛期の10分の1程度にまで落ち込んでしまいます。ヱビスの長い低迷期です。 ただ、この時期全く宣伝をしていなかったにも関わらず、一定の売上は確保し続けていました。ヱビスの品質の高さを評価してくれる熱狂的なファンの方々に支えられた時代でもあります。
主なきっかけは2つあります。 ひとつは、1988年(昭和63年)にグルメ漫画「美味しんぼ」の中で 「麦芽100%のヱビスこそが本物のビールである」と取り上げられたこと。 当時日本はドライビールブーム真っ盛りだったのですが、 これをきっかけに麦芽100%ビール、そしてその代表格である「ヱビス」に再び注目が集まりました。
そしてもうひとつは、1994年(平成6年)から始まった「ヱビスビールあります。」シリーズのCMです。
飲食店に貼ってあるビールのポスターやポップをイメージしました。 ・・・と、言いますか、実際にお店でも掲げていただこうと考案し、それと連動するかたちでCMでも使用しました。
ヱビスビールは当時から品質に対する評価が高く、「ヱビス」の信念に共感し、ヱビスを取り扱っていることに対してこだわりを持ってくださっているお店が多くありました。 さらに、そういったお店は他のお酒やお料理にもこだわっていることが多いので、消費者の方々の間でも、"ヱビスを取り扱っている=(料理等に)こだわりのあるお店"というイメージが少なからずありました。 それならば、"ヱビスビールを置いています"と掲げていただいたらどうだろう、お店にとっては"ビールにもこだわっています"というPRになり、 ヱビスにとっては"ヱビスを扱っているところはやっぱりおいしい"というイメージアップに繋がるのではないだろうか、お互いにプラスになるのではないか? そういった考えの下で、このキャッチコピーを作りました。
また、そういった"おいしいお店で出てくるようなこだわりのビール"ということを 広く知っていただきたいために、CMの方でも使用することにしました。 このCMの効果は絶大で、「ヱビスビール」の売上はどんどん伸びていき、 「ちょっと贅沢なビール」として、飲食店でもご家庭でも広く楽しまれるようになっていきました。
映画「第三の男」の曲ですね。 あの曲が使われるようになったのは「ヱビスビールあります。」のキャンペーンからです。 CMを再開した当時は、優雅・高尚なイメージの曲が多く、美空ひばりさんが歌った「ラ・ヴィ・アン・ローズ」をCMソングに使用していたこともありました。
けれど、「ヱビスビールあります。」のキャンペーンでは、もっと多くの方に飲んでいただくために広告の方向性全体を変え、上質でありながら親しみやすいイメージへとチェンジしていきました。
「第三の男」は、リズムが軽妙で、かつ上質感もある。 当時考えていたCMのイメージにピッタリでした。 しかも、有名な曲なので映画を知らなくても「どこかで聴いたことがある」と 視聴者の意識をひくことができます。 ちなみにこの曲を採用した担当者は、当時まだ「第三の男」の映画を見たことがなかったそうです(笑)
第一回でお話したとおり、 恵比寿駅の発車チャイムにCMソング(第三の男)を使用していただいているのですが、 駅であのメロディが流れると、駅のあちこちから「『ヱビスの音楽』じゃない?」 という声がちらちら聞こえてきたりもします。 あの音楽を聞くと「あ、ヱビスだ。」と感じていただけるくらい浸透しているんだな、と嬉しく感じています。
恵比寿ガーデンプレイスや駅ビルが10周年を迎えた際に、「恵比寿の街を盛り上げるために」と商店街や町内会の方々からご提案いただきました。それで私達も「ぜひ!」ということになり、JR東日本さんのご協力により実現しました。 最初は2004年(平成16年)の10月〜12月の期間限定で一旦終了したのですが、地域の方・利用者の方たちからの強い要望があり、その後復活いたしました。今では、高田馬場でアトムの曲が、蒲田駅で蒲田行進曲が流れるように、恵比寿駅ではヱビスビールの曲が流れるという、すっかりおなじみの光景になっています。
ヱビスビールと恵比寿駅は、歴史的にも、商品名が街の名前になったという深い縁があります。そのため、ヱビスビールに対して深い思い入れを抱いてくださっている地元の方が多くいらっしゃいます。
地域の皆さんに愛され、支えられて、本当にありがたいことだと思っています。 私達も、恵比寿をより盛り上げていくため、地域の方々と共に頑張っていきたいと思っております。
オピ研「サッポロビール」BBS