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vol.63: エスビー食品(3) 〜エスビーとスパイスの歴史2006.07.04
オピ日記「お気に入りスパイス」
オピモニ「「ベトナム風ヌードルスープ」
―――エスビー食品さんでは、沢山のスパイス・ハーブ製品を発売されていますが、
    一番最初に発売したのはどんな商品だったのでしょうか。
高井

創業のきっかけは、日本で一番有名なスパイス料理・カレーです。実は日本で最初にカレー粉を作ったのはエスビー食品なんです。
創業者である山崎峯次郎がカレーと出会い、オリジナルのカレー粉を作ろうとしたことからエスビー食品とスパイスの歴史はスタートしました。

 
現在のS&Bカレー
おなじみの赤缶、現在のS&Bカレー
―――なぜ、カレー粉を日本で作ろうと考えたのでしょうか。
インド風のカレーは小麦粉を使わないので、日本のものよりサラッとしている。
インド風のカレーは小麦粉を使わないので、
日本のものよりサラッとしている。
 
高井

はい、ではその前にまず、簡単にカレーの歴史についてお話しさせていただきます。

ご存知のように、カレーはインドが発祥の地です。
でも、実はインドには「カレー粉」というものは存在しないのです。スパイスが食生活に根付いているインドでは、各家庭でオリジナルのスパイスを組み合わせ、様々な料理を作っています。
香辛料やハーブを使った汁状の料理、インドではそれらが全て「カレー」という名前で呼ばれています。そのため、カレーとはどんなものを指すのか定義することはなかなか難しいのですが、一般的にはマサラ(※数種類のスパイス、ハーブをミックスしたもの)を使った料理のことを指す場合が多いようです。

―――インドのカレーと、日本のカレーは大分違うものですね。
高井

カレーは、日本に伝わる前に、一度イギリスを経由しているんです。
18世紀にカレーはイギリスに渡り、18世紀の末にはC&B社によってカレー粉が製造されました。そして、日本には明治初期にやってきました。
日本のいわゆる「カレーライス」は、イギリスから伝わったものをもとに、日本人の口に合うよう独自の進化を遂げていますので、「もはや日本食」というような意見もありますね。
そして"お米とマッチする"ということもあってカレーは日本に定着、1886年にはカレーライスがレストランに登場するようになります。

 

 
お肉やじゃがいも、たまねぎなどが入った家庭でもおなじみの「日本のカレー」
お肉やじゃがいも、たまねぎなどが入った
家庭でもおなじみの「日本のカレー」
 峯次郎が初めてカレーライスを口にしたのは1903年、東京・千住のある洋食店でのことでした。
峯次郎は初めて食べたカレーライスの美味しさに感動し、
自分でもカレー粉を作りたいと考えるようになっていくのです。
 
―――それまではカレー粉はなかったのですか?
エスビー食品の創業者、山崎峯次郎氏
エスビー食品の創業者、山崎峯次郎氏
 
高井

英国から輸入したC&Bカレーがほとんどで、日本オリジナルのものはありませんでした。
「日本製」と称して販売されていたものもありましたが、それらは英国から輸入したC&Bカレーに唐辛子、柚子の皮などを加えて増量しただけというようなものばかりでした。

品質にこだわる峯次郎にはこういった状況が許せず、自分の手で本物の「国産カレー粉」を作ろうと決心したのです。

高井

しかし、いざ作ろうと決心はしたものの、誰もカレーの原料を知らない、文献すらないという、ほとんど手がかりのない状況でした。
けれどそんな中、峯次郎は偶然にも、以前インドに在住していたことがあるという老人に出会います。老人はインドから直接原料を取り寄せてくれたのですが、送られてきたスパイスには、原料名や調合法が書いてありませんでした。

先ほども言いましたが、インドにはカレー粉がなく、スパイスを自由に調合して作っています。
おそらくインドの送り主は、"好きに調合しろ"ということでいくつかのスパイスを送ってきたんだと思うのですが、まったく基礎的な知識のない峯次郎には手も足も出ず、再び老人を尋ねることになります。
ところが、次に訪ねたときには、なんと老人は急死してしまっていました。
やむを得ず、峯次郎はその原料の香りを頼りにさまざまな店 をまわって材料を集め、手探りでカレー粉の調合を始めることになります。

 
初の純国産カレー粉「ヱスビーカレー粉」
初の純国産カレー粉「ヱスビーカレー粉」
 
浅草で創業した「日賀志屋」
浅草で創業した「日賀志屋」
 
高井

それからの峯次郎は、毎日毎日朝から晩までえんえんと調合に熱中。近所の人からは変人扱いされてしまっていました。しかもカレー粉の試作も失敗続き、金策に終われる日々でした。

しかしそんなある日、峯次郎が物置に貯まった失敗作を片付けようと缶の蓋をあけたところ、その中の一袋からカレーの香りがしているのを見つけたのです。

これによって"カレーはねかせて一定期間熟成させる"ということに気づき、コツをつかんだ峯次郎は、だんだんと自分の思い描くカレー粉の姿に近づいて行きます。

そして大正12年、ようやく独自のカレー粉の調合に成功。同年、浅草に「日賀志屋」という店を構えました。今のエスビー食品の前身となった会社です。

―――発売当時の反応はどういったものでしたか?
高井

発売当時の反応は、散々でした。
当時1ポンド1円15銭だった「C&Bカレー粉」よりも5銭低い、1円10銭という値をつけて食堂や食料店を一軒一軒下ろして回ったものの、 "国産品だ"と言うと、全くとりあってもらえないのです。「カレー粉はC&Bでなければ」ということです。
峯次郎はどうしたら使ってもらえるか考え、当時の料理の大家たちに試食をしてもらうことにします。峯次郎のカレーを食べた大家達は、「これなら舶来品にも負けない」と太鼓判を押してくれ、峯次郎は、彼らの推薦文をラベルに貼って発売しました。これが売り込みにたいへん役立ち、徐々に商品が広がっていくようになりました。

 
1954年以降登場した「キッチンカー」。移動料理教室を通して、カレーの普及に努めた
1954年以降登場した「キッチンカー」。
移動料理教室を通して、カレーの普及に努めた
―――大変な苦労をされたんですね。
高井

はい。前例のないことでしたし、当時は外国製品の力が強かったので。
その苦しい競争の中で会社を支えたのは、
初めてカレー粉を作ったときから一貫した品質へのこだわり・・・・・・
"いいものを作る"という強い意思だったように思います。

―――ところで、今はカレールウを使ってカレーを作るのが一般的ですが、
     カレールウの販売はいつから始められたのですか?
>
エスビー食品の最初のカレールウ 「固形即席カレー」
エスビー食品の最初のカレールウ
「固形即席カレー」
 
高井

実はエスビー食品は、カレールウに関しては後発なんです。カレールウは1950年頃から発売され始めたんですが、エスビー食品が発売したのは1954年のことでした。
もちろん、技術が足りなかったわけではありません。問題は当時の日本の小麦粉の質でした。
カレールウには、カレー粉の他に小麦粉が入っているんです。日本のカレーは、インドのものとは違ってとろみがついていますよね。あれは小麦粉が入っているためなんです。

高井

戦後しばらく、食糧不足の中で小麦粉の配給は統制されていました。役所の説得に腐心したかいもあって、この統制は1950年には解除されるのですが、当時配給された小麦粉は古く、質の低いものでした。
これでは満足のいくものは到底作れないと、エスビー食品では小麦粉の質が向上するのを待ち、4年後の1954年に、ようやくエスビー食品初のカレールウ「固形即席カレー」を発売したんです。

そしてその5年後にはカレー粉を最中の皮で包んだ「モナカカレー」、1964年には「インド人もビックリ!」のCMでおなじみの「特製エスビーカレー」を発売し、どちらも大ヒット商品となりました。

 
(上)モナカカレー・(下)特製エスビーカレー
(上)モナカカレー・(下)特製エスビーカレー
 
―――「コショー」を初めて発売したのもエスビー食品さんなのだそうですが・・・・・・
今も続くロングセラー「エスビーテーブルコショー」
今も続くロングセラー「エスビーテーブルコショー」
 
高井

はい。食糧事情がだんだんと回復してきたこと、そして食生活が洋風化してきたことを受けて、1952年に発売しました。
こしょうには、黒こしょう、白こしょうをはじめとしていくつかの種類がありますが、「テーブルコショー」のような、いわゆる一般的に「コショー」といわれているものは、実は黒こしょうと白こしょうをブレンドしたものなんです。発売当時の日本の食生活、食文化の感覚に合わせ、この2つの風味がうまく絡み合うようにブレンドして「コショー」を作りました。

他にも、チューブ入り調味料やガーリックパウダーなども、エスビー食品から最初に発売されたものなんですよ。

>―――本当に、スパイスの歴史を支えてこられたんですね。
高井

はい。創業以来、スパイスを日本の食生活に広めるために努力してまいりました。また、2000年からはスパイスだけでなく「ハーブ」にも力を注いでいます。

「日賀志屋」が「ヱスビー食品株式会社(1992年に現在の『エスビー食品』に改名)」という名前に変わったのは1949年、現在も使われている「S&B」を商標としたのは1931年のことでした。当時、「S&B」の2文字は、ラベルに使用していたお日様と鳥・・・「Sun&Bird」の頭文字からとったものでした。

 
太陽をバックに飛ぶ鳥をモチーフにした「SUN&BIERD」マーク
太陽をバックに飛ぶ鳥をモチーフにした
「SUN&BIERD」マーク

そして2000年からは、そこにあらたに「Spice&herB」という意味をつけ加え、
エスビー食品の"新創業"の年と位置付けました。
これからも、「本物を作る」という姿勢を貫きつつ、スパイス&ハーブの世界を、
皆様に広めていくために努力していきたいと思っております。
 


エスビー食品株式会社



vol.63 エスビー食品(4)

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